503Archive "beauty"
髪の意思、人の意志
先日の会話。
「まとまりがなくなったんで来たんですけど、美容室来る時はいつもまとまってるんですよね...。いつもはこんなにまとまってないんです。」
と、昔からたまにある美容室あるある。
髪も意思を持って切られたくないのか、はたまた猫を被りよそゆきの顔をしているのか、これまたこれ正装とばかりに身を委ねているのか。
そんな髪が意思を持つというオカルトのような話には浪漫があります。
気分を変えたり、気合を入れたりと内面への影響も大きいので少なからず持っていますね。
日本ではこれまた昔から、失恋すると髪をバッサリ切るという文化的なイメージがあります。
どうやらこれは古来より女性は髪が命、心の象徴とされていたようで、平安時代は黒髪のロングが美徳とされ、髪を整えて綺麗に保つことが心や生活を整える行為だったようです。
出家や喪などの人生の節目には「過去を断ち切る」「新しい自分になる」という儀式的な意味を持っていたようです。
話しは少し逸れますが、現代の1日分の情報量は江戸時代の1年分、平安時代の一生分の情報量だそうです。
さらに1970〜90年代の少女漫画やドラマがこのイメージを強く定着させたようです。
失恋したヒロインが髪をばっさり切って「新しい自分に生まれ変わる」演出で髪を切って「過去の恋を断ち切る」「もう泣かない」という意思表示を表現したようです。
当時はロングヘアが主流だったため、「ばっさりショート」は視覚的にもインパクトがあり、感情の変化を象徴しやすかったので雑誌やテレビでも「イメチェン=失恋から立ち直る」という図式が繰り返し描かれて文化的な記号として定着したそうです。
それが現代では個人的主観による気持ちの切り替えやスタイル革新の手段になっていますね。