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「目」

  • Posted by: kuramoto
  • 2020.08.31 20:20

今回は、自分が今まで行った中で一番印象に残っている美術展について紹介したいと思います。

世にコロナが蔓延する少し前、2019年11月から年末にかけて、「目」というアーティスト集団による「非常にはっきりと分からない」というインスタレーションが千葉市美術館で開催されていました。

会期中に限り、美術展の中で起きた事の他言、SNS等に書き込む事、展示室での写真撮影が一切禁止されていて、「目」というアーティスト集団においても、展示内容についても多くが謎に包まれたものでした。

今回は会期が終了している事、環境的にも内容的にももう二度と開催することはないと「目」が発表していることを踏まえた上で、中で起こっていた事について書いていきたいと思います。

会場である千葉市美術館に到着すると、中も外も改装中。これは展示によるものではなく実際に千葉市美術館で行われている改修工事によるもので、「目」はそれを踏まえてインスタレーションをするためにこの場所を選んだようでした。

改装中の静かで薄暗い会場に入ると、audienceと書かれたシールを見える場所に貼るよう指示されました。

会場は1階と5階6階、1階のみ撮影可能で5階6階の行ききは自由ですとだけ説明され中へ。

1階は完全に工事中。工事現場の方々が置き去りにしていったような飲み物や散らばった小銭、マネキン等色々なものが乱雑に置かれていました。

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478B5003-974F-4033-88D7-4E0CAE29C8CE.jpeg 天井付近には謎の記号の様なものが映し出されていたので、恐らくこれもすべてインスタレーションの一部。何かヒントがあるかもしれないと見て回りましたがさっぱりでした。

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続いてエレベーターに乗り5階へ、エレベーターは向かい合わせに2つずつ、計4つありどこからでも移動できる様になっていました。

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5階に到着するとこちらも改装工事中で、軍手が落ちていたり、ヒビの入ったガラスの額が散乱したりしていました。ですが一階と違ってアート作品の様な物も展示されていて、時計の秒針の部分だけが大量につるされていたり落ちていたりと、とにかくよく分からない奇妙な空間が広がっていました。時計の秒針はすべて動いていて、動き方に何か法則が、、?等と色々勘繰りましたがこちらもさっぱり。

訳の分からないまま6階に向かうと、そこで初めて衝撃を受けました。

今確かに5階から6階に上がってきたはずなのに、そこには5階と全く同じ空間が広がっていたんです。落ちていた軍手の場所も、額のヒビの入り方も、落ちている秒針の不気味な動き方も何から何まで全てが一緒、困惑して鳥肌が立ちました。

本当にどこにも違いは無いのか確かめるために4つのエレベーターを使って何往復もしていると、仕舞いには違いを見つけるどころか5階、6階のどちらにいるかすらわからなくなりました。軽いパニックを起こしながらも、違いを見つけたい一心でウロウロし続けました。

そうこうしていると突然audienceシールを貼っていないスタッフの様な方が登場。その方は展示物を動かし始め、そしてその動かしたものを元の場所に戻すという行為を繰り返し行い始めました。それを見てまた困惑し、そのままもう一つの階に行くと、やはり同じ場所で同じことを繰り返している人がいました。

問題はここからなんですが、なんとさっき違う階で物を動かしていた人と同じ顔をした人が同じ様に物を動かしていたんです。ここで再び大鳥肌。その異変に気が付いたaudienceの方々は皆ざわざわしていました。

結局空間の違いも見つけられず、インスタレーションそのものの意味も全く理解することが出来ないままパニックで会場を後にすることになりました。

しかし、そんな「よくわからない」の感情のまま会場を後にした同志たちが集うLINEのオープンチャット(掲示板の様な物)があることを知り、早速参加。中では、ここが違ったんじゃないか、実はエレベーターは動いておらず同じ階にずっといたのではないか、等と沢山の憶測が飛び交っていました。ここでもやはり誰も何もわからず。

そして会期最終日、自分は立ち会えなかったのですが「目」による今回のインスタレーションについてトークショーが開催されたらしく、チャット内の全員がネタバラシを楽しみに待ち望んでいました。が、ここでも特に腑に落ちるような説明はなく。

唯一わかったのが、5階6階はちゃんと存在していて「目」の方たちは本当に全く同じ空間を作り上げていたという事、そしてその違いを探し回る来場者自身もインスタレーションの一部にしてしまおうと考えていたということでした。

ちなみに2つのフロアに同じ顔をした人間がいた事に関しては、とても良く似た顔の双子をオーディションで募集してスタッフに使っていたとの事でした。まさか双子だとは思わない来場者たちは、一種の恐怖体験をしたと思い込みパニックを起こすわけです。どちらにせよ、完全再現然り、同じ人間がこの様な事を考え付き、やってのける事実自体に恐怖を覚えました。ガラスに全く同じ様にヒビを入れた方法がどうしても気になるところです、、、。

このインスタレーションの余韻は未だに残っていて、美術館が好きな方にはつい話したくなってしまいます。そしてこの二度と開催されないと言われている奇妙な展示に立ち会えた事に若干の誇りすら持っています。

「目」という謎のアーティスト集団。発想がぶっ飛んでいてとにかく面白いので、これからも要注目して追いかけていきたいと思っています。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

皆様も是非次のインスタレーションには足を運んでみて下さい。

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